第33回「身体の冷えと免疫力」

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連載コラム 「感染管理に関わるあれこれ」

 

第33回  「身体の冷えと免疫力」 榮留富美子

 

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10月に入り、冷たい雨に寒い日が続き、体調を崩している方の声が聞こえてきます。

電車の中もマスク姿の人が増えてきた気がします。

皆さんは元気に過ごしていますか?

これからの寒い時期、乗り切りたいですが、
「冷えは万病の元」と昔から言われているように、
平熱が低いと身体に不調が現れやすくなります。

寒くなると思い出すのが私の母のことです。

寒い日は寝るときには湯たんぽが必需品でした。

母は冷え症だったのかもしれません。

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小さい時の私は、湯たんぽ入りの母の暖かいお布団が羨ましく、
母の湯たんぽをそっと抜き取り、
そのまま自分の布団に忍び込ませぬくぬくと寝ていました(笑)。

もちろん、末っ子の私は怒られることはありませんでしたし、
夜中には、湯たんぽは母の元に行っていました(笑)

母は、高血圧や心臓弁膜症などで月に1回通院し、
朝夕の食後には沢山の薬を飲んでいました。

冷えが免疫力を下げ、母の病気の原因になっているとは言えませんが気になっています。

母が亡くなって20年になりますが、
そんな母を思うと身体の冷えは良くないのかもと・・・思いながら、
今回は、「身体の冷えと免疫力」についてお話します。

 

1.日本人の平均体温

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自分の平熱を知っていますか?

私は36.2℃くらいです。

日本人の平均体温は36.89℃ということになっています。

この数値を見て、高いと思いませんでしたか?

実は、これは1957年のデータで、
東京大学の田坂定孝教授らの研究で、
10〜50歳代の3094人(男性1445人、女性1649人)の
健康な方の体温を計測した結果、
平均体温は36.89℃を中心とした36.55~37.23℃でした。

この平均体温だと身体の細胞が活発になり、
美容にも健康にも良いとされています。

ここ最近は、低体温の人が増えていて、低体温とされる平均体温は35℃です。

35℃台になるとがんの発生率が高まります。

これは平均体温が低いことにより、
がん細胞や体の中で悪影響を与える細胞や
ウイルスと戦うナチュラルキラー(NK)細胞が
冬眠状態になってしまうからです。

いくつか原因が考えられますが、一番の問題はストレスです。

過剰なストレスが自律神経やホルモンのバランスの崩れをもたらし、低体温を招きます。

ぜひ、平均体温を上げ、がん細胞が増えない体内環境を作りたいものです。

 

2.水銀体温計の37℃の赤いライン

 

最近は殆ど使用しなくなった水銀体温計の色や形を思い出してください。

37℃のところですが、赤いラインと赤い文字になっています。

この赤いラインと赤い文字、これを超えると熱があると思いがちです。

私も勘違いしていましたが、微熱とかを表す数字ではなく、
以前は平熱がそのあたりであることを示したものだそうです。

といいつつも、やはり「熱が出てる~!」と思いがちですよね。

平均体温は37℃前後です。

そうなるように冷えを押さえ、体温を上げ、
免疫力が高まる体温になりたいものですが、
まずは、朝、昼、夕など2~3日測って平均体温を出し、
自分の平熱を知ることも大切だと思います。

 

3.身体の冷えと免疫力

 

「身体の冷え」・・・他の人が寒く感じない程度の環境温の中にいても、
手足などの冷たく寒さを感じたりする人増えています。

体温は、身体の免疫力に関わる大切なものであり、
わずか1℃下がるだけで免疫力は30%程度低下すると言われ、
身体の冷えは免疫力と大きく関わっています。

免疫力は、体温が下がり身体が冷えて血流が悪くなると、
免疫機能を持っている「白血球」が身体の中で上手く廻れなくなります。

血流が悪いと体中の老廃物が排出されず、
基礎代謝の70%を占める内臓の機能を下げてしまいます。

基礎代謝量は、体格、年齢、性別、身体活動レベル、
ホルモンなど、さまざまな因子の影響を受けます。

その中の因子のひとつとしての体温には、
皮膚表面からの放熱量が大きいため、
体温が1℃上昇するごとに代謝量は13%増加します。

体温が高い人は基礎代謝が大きくなるわけです。

つまり、体温が上がると基礎代謝も上がり、
血行もよくなり免疫力がアップすると言えます。

 

4.シャワーより、入浴が免疫力を上げる

 

お風呂は、シャワー派ですか?入浴派ですか?

身体の冷えを解消するためのひとつの方法として、入浴についてお話します。

シャワーでさっと済ませる方も多いと思います。

気づかないうちに免疫力が低下している場合があります。

海外では、シャワーが主流と言われそうですが、
日本人と外国人では筋肉量や基礎代謝量の相違があると思います。

入浴と免疫力は深い関係にあり、
免疫力は体温が下がると低下し、
逆に体温が上がると高まります。

入浴によって、冷えた体をしっかりと温めることで
自然と免疫力を上げることができます。

入浴には、ストレス解消効果もあります。

ゆっくりと湯船に浸かってリラックスすると一日の疲れが癒され、
仕事や生活の悩みから開放されると
脳内からホルモンが分泌され、免疫力が高まります。

入浴の効果としての免疫力アップは、
血液中の白血球やリンパ球など免疫をつかさどる細胞が
身体の隅々まで行き届いてしっかりと活動することができるようになり、
細菌やウイルスに対して免疫力が働きやすくなり
病気にかかりにくくなります。

しかし、いくら身体を温めるためと言いつつ、
お湯の温度が高すぎると急激に血管が刺激され、
心臓や脳に負担をかけてしまいます。

高血圧の人などは特に注意が必要です。

 

5.インフルエンザや風邪の時のお風呂

 

インフルエンザや風邪の時のお風呂についてお話します。

子どもの頃の私は、風邪の時などは、
お風呂は入ってはだめだと言われていました。

これは、衛生状態や住宅事情の違いがあると思います。

私が小学校1年生までは、離れの外風呂で五右衛門風呂に入ってました(笑)。

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インフルエンザウイルスが活発に動く条件として、
温度が低く乾燥した状態です。

言い換えると、高温多湿な環境であるお風呂場は、
インフルエンザウイルスの感染力がかなり低下すると言えませんか。

つまり、お風呂場で感染するリスクは極めて低いのではないでしょうか。

ただし、脱衣所や洗面所などは、
お風呂場とは条件が違うので、感染のリスクは高まります。

インフルエンザに感染中の場合のお風呂についてですが、
症状が軽くなり、高熱もだいぶおさまり、
身体を洗ってさっぱりしたいという時には、
次の点を留意して入浴も可能だと考えます。

①体力が消耗するような長風呂は避けましょう

②お風呂に入る時と、上がったときは、しっかり水分補給をしましょう

③脱衣所は暖房器具で温かい状態にしておきましょう

④タオルは家族とは分けて使いましょう

⑤洗髪したら、ドライヤーで完全に乾かしましょう

⑥感染防止の観点から、できるだけ最後に入るようにしましょう

⑦蛇口や洗面器、ドアノブなどは、最後に温かいお湯をかけておきましょう。

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* 日頃から身体の冷えを押さえ、免疫力をあげる生活を心がけましょう

 

 

榮留 富美子(えいどめ ふみこ) 

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・プロフィール・長崎県大村市出身。2016年3月、陸上自衛隊を定年退職。2016年4月、EIDOME Consulting 開業。自衛隊中央病院高等看護学院卒業後、陸上自衛隊の看護師として、臨床現場、看護教育、部隊カウンセラーとして勤務。特に、感染管理認定看護師取得後は、自衛隊中央病院において専従として感染制御活動に携わる。

現在は、これまで培ってきた知識や技術を活かし、企業とコンサルティング契約、また、日本環境感染学会教育委員としての活動やフィットテスト研究会、感染管理認定看護師課程等において感染管理や労働安全衛生の非常勤講師として活動している。

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