第3回 ナースが知らない転職の真実 ナースプロジェクト代表 喜多万里子
「紹介会社の賢い利用法」
紹介会社っていうのは・・・
紹介会社とは、病院や企業にとっても便利な存在です。お金さえ出せば、電話1本で応募者を連れてきてくれます。有名な職場を除けば、都市部の職場は看護師の応募者を獲得するだけでも大変な苦労をしています。ハローワークやeナースセンターに求職者が集まりにくくなった今、病院や企業にとって紹介会社は無くてはならないものになりつつあるのかもしれません。しかし一方では、これまでの紹介の仕方の弊害からか、地域によっては悪者扱いをされている所も少なくありません。
だから看護師は考えなければなりません。病院が必要とする看護師の多くを紹介会社に頼ったら、一体どれだけのお金が出ていくのでしょう。現在、中規模の病院でも年間1千万円程が紹介会社に支払われているそうです。職員の職場環境改善に使ってほしいそのお金が外に流れていき、職場環境改善が後回しにならないかと心配です。いくらお金を使って看護師を入れても、職場環境が悪ければ、看護師は定着できません。
紹介会社は情報源
自分の行きたい分野がはっきりしている方は、純粋に情報が欲しくて紹介会社に登録をしています。そのような方にとっては、紹介会社は有用な情報源となります。単純に、現在募集している所を知る、口コミ情報を聞く、採用条件を聞く、等です。特に都市部は、案件が多く、個人で選ぶには困難な場合があります。
大手ではハローワークやeナースセンターより多くの情報を持っていることは確かです。ただ、気を付けなければいけないのは、情報がある=紹介できる所 ではないことです。
ハローワークから引っ張ってきただけの情報もあるからです。紹介される案件は、取引のある業者のものですから、ある程度限られてきます。
地方では職場の数が少ないため、職場情報も周知され、良い職場の椅子取りゲームのようになっている所もあります。当然、そこに紹介業者は必要ありません。
一方で分野によっては、看護師を紹介会社経由で調達することがスタンダードになっている所もあります。特に一般企業に就職を希望されている方は、紹介会社を利用されることで、転職がよりスムーズにいくこともあります。但し、その会社の採用サイトは必ず確認してください。直接応募の方が好条件の場合があります。
待遇交渉してくれる?
待遇交渉などを希望される方は、そのまま紹介会社を通して面接に進みますし、話だけを聞いて自分で応募される方もいます。
待遇交渉がアピールポイントの紹介会社ですが、実例はそんなに多くないと思います。何しろ病院等は、既に多額の紹介料を支払っていますから。でも、良いキャリアがあり、ニーズが合致した時は高待遇で迎えられる場合があります。管理職の場合は特にそうでしょう。
実力、キャリアのある方は良い案件を提示してもらえます。
一般的な待遇については、就職先の採用サイトや、採用条件の書類で確認することが大切です。コンサルタントが伝えた待遇と、実際の待遇が違う事が少なくないからです。入職してから気が付いても遅いのです。
良いコンサルタントはナビゲーター
どの分野に転職するかを具体的に決めておらず、各分野の仕事の内容もあまり知らない方が紹介会社を利用する時は注意が必要です。なぜなら、コンサルタントの多くは看護師の仕事について詳しいわけではありません。その方に道案内をお願いするのは、道を知らない人に道を聞くことに似ているかもしれません。ミスマッチの原因の一つはここにもあると考えられます。「紹介会社経由の看護師はすぐ辞める」と言われている分野もあります。
しかし、良いコンサルタントは、仕事内容も良く知っており、あなたの経験や、希望にマッチした案件を紹介してくれるでしょう。まず、eナースセンターや看護師コンサルタントに相談してみることも、お勧めです。
つまり、紹介会社をうまく使えるキーワードは「都市部」「キャリア」「コンサルタント」
次回からは、さらに詳しいお話を、実例を交えながらお話していきます。
・プロフィール・岩手県生まれ。ナースプロジェクト代表。2015年株式会社キタイエ取締役就任。職業紹介責任者。防衛医科大学校高等看護学院卒業後、同大学病院にて勤務。退職後、武蔵野女子短期大学に学び、卒業、結婚、出産を経て看護師として復帰。現場での経験から現在の転職事情に危機感を持ち、ナースの転職について研究を進めている。現在、看護師のために正しい転職情報を発信している。看護師の転職にまつわるご相談はこちらnurseproject@kitaie-medicai.com. 公式Twitter@nurseproject_k
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