連載コラム 「感染管理に関わるあれこれ」
第19回 「水痘ウイルスが目覚めると・・・」 榮留富美子
母の日、長男夫婦からアレンジメントのお花が届きました。
嬉しいプレゼントです。
独身の次男からは「64ってまだある?」のゲーム機確認のラインのみ・・・。
こうも違うかという感じ(笑)
そして、私はというと、義母には大好きな「カステラ」とカーネーションを1本贈りました。
20年前に亡くなった母にも感謝です。
同じ看護師として尊敬できる母ですから。
さて、免疫が低下した義父、水痘ウイルスが目覚めて帯状疱疹になってしまいました。
今回は、「水痘ウイルスが目覚めると・・・」についてお話します。
1.水痘の感染力
私の話で恐縮ですが、25年前・・・病院の総合案内の業務をしていた30歳の私は、
診察やお薬待ちのお子さんたちと接する機会が多くありました。
後で知りましたが、水痘と診断されたお子さんがいました。
約2週間後、発疹や水疱が出始め「水痘」と診断、そして次々に息子ふたりに感染、
息子たちが通っていた保育園のお子さんにも・・・感染。
当時の保育園の先生方、保護者の皆さまご迷惑をおかけしました。
母から、子どもの頃に水痘にかかっていなかったことを聞いており、
看護師の仕事を始めてから水痘の予防接種も受けました。
自費6,000円・・・高いと思ったことを覚えています。
この予防接種を受けていたからか症状は軽かった思います。
当時、長男3歳、次男6か月。
長男の症状が一番ひどく、ご飯も食べるのも痛がっていましたが、
現在28歳の長男、当時のことは覚えていません(笑)2
「私からスタートし、次男→長男→保育園のお子さん」と水痘の感染力は、
麻疹と並んで感染力が極めて強いです。
2.水痘ウイルスが目覚めると・・・
水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)に初めて感染した時に発症する
急性のウイルス感染症です。
水痘の多くは子どもの頃にかかりますが、私のように成人して初感染する場合もあります。
発症後1週間程度で治りますが、治ったといってもウイルスが消滅したわけではありません。
知覚神経の神経節に入り込み、遺伝子の形として隠れていて復活の機会を狙い、
長い場合は、何十年も潜伏し続け、免疫力が低下したときにウイルスが再活性するのです。
免疫力が低下する原因は、過労やケガ、大きなストレス、病気、手術、
免疫抑制薬の使用、加齢などがあります。
このような原因で免疫力が低下し、目覚めた水痘ウイルスは、
神経節から出て活動を再開し、皮膚に赤い丘疹や水ぶくれが神経に沿って帯状に現れ、
発症するのが帯状疱疹です。
つまり、水痘のウイルスと帯状疱疹のウイルスは同じなのです。
帯状疱疹、名前の通り、身体の左右どちらか片側に、帯状の発疹や水疱が並んでできる感染症です。
そして、強い痛みを伴うのも特徴です。
義父は衣服が触れただけでも痛く、夜中に
「あいた!あいたた!」
と、義母を睡眠不足にしてします。
帯状疱疹は、高齢者にかかるイメージがありましたが、
最近は、年齢に関係なく20~30代の世代にも増加しているようです。
免疫力アップが大切です。
皮膚症状は、水疱から「かさぶた」になっておさまります。
痛みが起こり始めてからかさぶたが治るまで約3週間から1ヵ月、多くの場合強い痛みを伴います。
皮膚症状の消失と共に痛みも無くなりますが、
皮膚症状が回復しても痛みだけが残る「帯状疱疹後神経痛」になることもあります。
神経痛になることなく義父の帯状疱疹が治りますように(^_-)-☆
*症状が顔、あるいは眼の近く、耳に出た場合は、眼の神経、耳の神経に障害が現れる可能性があるので皮膚科だけではなく、耳鼻科や眼科の受診をお勧めします。
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・プロフィール・長崎県大村市出身。2016年3月、陸上自衛隊を定年退職。2016年4月、EIDOME Consulting 開業。自衛隊中央病院高等看護学院卒業後、陸上自衛隊の看護師として、臨床現場、看護教育、部隊カウンセラーとして勤務。特に、感染管理認定看護師取得後は、自衛隊中央病院において専従として感染制御活動に携わる。
現在は、これまで培ってきた知識や技術を活かし、企業とコンサルティング契約、また、日本環境感染学会教育委員としての活動やフィットテスト研究会、感染管理認定看護師課程等において感染管理や労働安全衛生の非常勤講師として活動している。
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