これはきっと神様のしたことに違いない・・・。
何年もたった今でもそう信じていることがあります。
これはある病院での事。
寝たきりだけど、元気の良いおばあちゃんが入院してきました。
褥瘡があったり、点滴が必要だったりしましたが、ケアの度に
「何するんだよ~」
「バカヤロ~!バカヤロー~!」
「お前なんか死んじまえ!」
「痛いよ~」
と大暴れでした。
暴力があったので、ケアはナースが複数で入る事にしました。
点滴はすぐ抜去されて治療ができないので、やむを得ず抑制をすることになりました。
「バカヤロ~、バカヤロ~」と大声は続きました。
それから1週間ほどたったある日、私が処置に入ると
「有り難う」と言うのです。
初めて聞くその言葉にびっくりしたのですが、もっとびっくりしたのはその表情です。
怒っているのです。その表情とは結び付かない言葉に私は強い違和感を覚えました。
さらに処置を始めると、いつも通り嫌がっているのに、発する言葉は
「有り難う~!」「有り難う~」「有り難う~!」
点滴をする時も、「痛い!」と叫んでいたのに「ありがとう~!」と顔をしかめながら叫びます。
その日以来、そのおばあちゃんは「ありがとう」という言葉しか言えなくなりました。
苦しいも「ありがとう」、辛いも「ありがとう」、痛いも「ありがとう」
帰りたいも「ありがとう」、嫌だも「ありがとう」名前も「ありがとう」
色々な「ありがとう」を聞きました。
それから2週間ほどで、そのおばあちゃんは帰らぬ人となりました。
言葉を失った事は本当に悲しい事だけど、最期に残った言葉が「ありがとう」でよかった。
スタッフはおばあちゃんが大好きになり、心を込めてケアをさせて頂くことができました。
どんな「ありがとう」でも、私達にとっては「有り難う」だったのです。
沢山の「ありがとう」を残してくれたおばあちゃんと神様に「有り難う!」
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