去る2月17日、株式会社Leap 関弘子さん主催の下記セミナーが開かれました。
「看護師のためのがん治療と仕事の両立支援セミナー」
～知ってほしい！働くがん患者への告知後のケアとフォロー～
講師；キャンサー・キャリア キャリアコンサルタント 砂川未夏
砂川さんは、現在はキャリアコンサルタントとして活躍されていますが、
自らもがんを経験されています。
がん患者の就労問題の現実や、ケーススタディの他に、砂川さんの体験談も伺いながら、
働くがん患者に対して看護師がどのようにアプローチしていけばよいのかを
学び考えるのが今回のテーマでした。
筆者も参加させて頂きましたので、概略をお伝えします。
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がん患者は増加しており、がん患者の3人に１人は働く世代の方です。
その方々のうち、仕事を辞めたいと思っている方は約1割。
残りの約9割の方は就労を希望しています。
がん患者の就労に関する国の総合支援事業もスタートしており、がん診療連携拠点病院の
相談支援センターで就労継続支援や再就職支援が行われています（ハローワーク設置）。
つまり病院においても、医療・キャリア就労の両面からのがん患者のサポート体制作りが
始まっていることになります。
相談にあたるのは、社労士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント等の就労の専門家です。
がん拠点病院以外でも産業保健センター、ハローワークにも相談窓口があります。
しかし、どういう就労相談窓口があるのかを患者に説明できる看護師は多くはありません。
就労問題ががん患者にとって大きな問題である事も、あまり認識されていないかもしれません。
がん患者の中には、がんを告知されてすぐ、仕事はやめなければ、と思い込み辞めてしまう方がいます。
「治療後に仕事ができると知っていたら辞めなかった」と言う方もいます。
忙しい医療の現場で、どのようにこの就労問題をサポートしていくかは難題です。
患者は仕事に関する様々な悩みを抱えています。
まさか、私がガン！？仕事どうしよう・・・
治療しながら仕事を続けられるかなぁ・・・
上司は聞いてくれるかなぁ・・・
休んでしまうと治療費や生活費が不安・・・
副作用が出てきたけどわかってもらえるかなぁ・・・
治療スケジュールの変更で復職の見通しが立たないなぁ・・・etc.
告知から5年、10年の経過観察期間まで、色々な迷いや不安等があります。
このような就労に関するモヤモヤが患者の心にある事を、
看護師も心に留めておく事は必要かと思います。
がんの告知を受けた患者は、”知識ゼロ”からのスタートです。
なのに、短期間で複数の選択と決断を迫られたり、治療に向けた仕事の調整もしなければなりません。
そのような大変な状況にある患者は、誰にどのような相談をすればよいのかわからないかも知れません。
そのような時（治療開始前まで）の看護師のかかわりのポイントは、
まず、声かけ。
声かけが患者の「伝える力」を引き出します。
そして、
＊患者の正しい理解を促す。
＊治療のスケジュールの確認
＊治療に伴う生活への影響の確認
さらに、納得して選択できるよう、情報提供＆専門家へつなぐこと。
セミナーでは、看護師から看護の現場の状況も語られました。
それは、忙しい医療の現場に加えて個人情報保護の壁があり、患者の社会的背景を知る事ができない。
そのため、それぞれの患者にあわせた声かけや情報提供が難しくなっている、というものです。
個人を守る法律が、医療現場ではネックになることもあるのです。
また最後に砂川さんから、検査を受けてから結果を聞くまでのどうしようもない不安や、
告知を受けた後の心の動揺など、誰かに話を聞いてもらえるだけで心が楽になると語られました。
それに対し、その役割の担い手として看護師は適しているとセミナー出席者から意見がでました。
以上、セミナーのごく一部のご紹介ですが、砂川さんの資料を基に記事を書かせて頂きました。
最後に、砂川さんが代表を務めるキャンサー・キャリアのご紹介です。
目的・理念；がんになっても自分らしくイキイキと働くことを支援する活動を通して、誰もが安心して暮らせる社会を実現する
「キャンサー・キャリア～どんな経験もギフトにかえる～」では、がん患者専門のキャリアコンサルティングを行っています。
働く・働きたいがん患者の＂仕事と治療の両立＂の実現に向けてセミナー、ワークショップ、個人セッション等を行っています。
詳しくはこちらをご覧ください。
facebookページ；https://www.facebook.com/cancercareer/
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