第2回 ナースが知らない転職の真実 ナースプロジェクト代表 喜多万里子
はじめに
都市部では、看護師が仕事を探すために紹介会社を使う事が多くなってきました。
また事業所でも、ハローワークから人材が得られなくなってきており、紹介会社に依頼するケースが増えてきています。ある東京近郊のハローワークでは、訪問看護事業主の方が求人依頼を出したところ、訪問看護希望者は2人しかいないと言われたそうです。ナースは皆、紹介会社を利用しているのでしょうか?
転職の実例
実は、紹介会社経由での転職のデメリットを理解している方は、使い分けをしています。
あるナースマンは、大きな病院への転職をめざしていました。彼は色々な病院を調べ、直接応募をしたそうです。「病院にお金の負担をかけたくないじゃないですか」と。病院関係者が聞いたら、喜びますね。もちろん採用されて、春から希望の大きな病院で働くことになっています。
ある女性看護師は、小さな訪問看護事業所に直接応募したところ、直接応募だからお給料を2万円上乗せする、と言われたそうです。(実際はここに就職しませんでした)もちろん、そんな事は採用情報には出ていませんでしたので、直接応募の方が、皆そのような事をいわれるわけでもないと思います。
この二つのケースは紹介会社を利用するデメリットの代表的なものです。
転職会社を利用するデメリット
一つ目のケースでは、ハードルの高い職場に挑戦するのに紹介会社を利用すると、そのハードルはさらに高くなってしまいがちです。自分に、100万円の値札がついてしまうのですから、当然と言えば当然です。しかも、ブランド力の高い病院はサイト上で、「紹介会社経由の方は採用しません」と宣言しています。このような病院に紹介会社を使って入れるのは、よほど素晴らしい看護師でしょう。
2つ目のケースでは、小さな事業所は資金にゆとりがないため、紹介会社に紹介料を支払うことは大きな痛手となります。そのため、直接応募の看護師はとても歓迎される傾向にあります。特に小規模経営の訪問看護ステーションでそのお話を伺う事は多いです。
さらに、ブランクの長い方や、働き方に制限のある方も、紹介会社を利用することで転職が難しくなってしまう事がありますので注意が必要です。それでも、紹介会社のコンサルタントに働き方や、仕事についての相談をコンサルタントにできたらいいのですが、看護の仕事を理解しているコンサルタントを探すのは至難の技です。
また、病院から介護分野へ等、違う分野での仕事をお探しの方は転職失敗の事例が多いので注意が必要です。これは、仕事の内容をよく理解せずに転職先を紹介してもらって行く事が大きな原因になっています。
待遇アップできないあるケース
最近は、行きたい職場が決まっているのに自分で応募するのが不安だからと紹介会社を利用する方も多いようです。
面接時に「貴院で働きたいと思って・・・」と話して、面接官に
「じゃ、何で紹介会社を使ったの?」と聞かれた時に、
「自分で応募するのが不安で・・・」
となると、その方の評価は下がってしまいます。「自分で応募できない人」は、仕事でもよい働きをしてくれるようには思われないので、たとえ採用されても、高待遇はおろか、既に評価を自ら落としています。これは、受け答えに気を付けなければいけません。
紹介会社を利用したい大きな理由の一つは待遇交渉だと思いますが、紹介料に大金を費やす職場側からすれば、基準より上の待遇を提示出来るのは、そんなに多くないのです。
では、どうしたらお給料が上がるのか、それはおいおいお話していきます。
今回は紹介会社利用の代表的なデメリットをお話してみました。
しかし、使い方によってはメリットもあるのです。
・プロフィール・岩手県生まれ。ナースプロジェクト代表。2015年株式会社キタイエ取締役就任。職業紹介責任者。防衛医科大学校高等看護学院卒業後、同大学病院にて勤務。退職後、武蔵野女子短期大学に学び、卒業、結婚、出産を経て看護師として復帰。現場での経験から現在の転職事情に危機感を持ち、ナースの転職について研究を進めている。現在、看護師のために正しい転職情報を発信している。看護師の転職にまつわるご相談はこちらnurseproject@kitaie-medicai.com
次回は「紹介会社の賢い利用法」をお届けします。
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