個人が看護師に仕事を依頼

第29回「長引く咳、それって、いつもの風邪ですか?」

29-2

連載コラム「感染管理に関わるあれこれ」

 

第29回 「長引く咳、それって、いつもの風邪ですか?」 榮留富美子

 

感染管理認定看護師の榮留富美子さんによる連載コラム

第1回「看護師は感染症にかかりやすい?」はこちら

連載コラム第2回 冬になると感染症が流行する理由」はこちら

 

 

秋めいた気候になり、汗かきは少し収まってきました(笑)。

前回のコラムで、熱が出る・疲労感・咳など、風邪と似たような症状が2週間以上続き、
寝汗を大量にかくという場合、結核の可能性がある話をしました。

結核に対してどんなイメージがありますか?

「過去の病気」とかのイメージでしょうか?

 

結核・・・結核菌によって発生し、日本では主要な感染症の一つです。

毎年、新たに1万8000人程度の患者が発生しており、
世界的にみても日本はまだ結核の低まん延国ではありません。

今回は、「長引く咳、それって、いつもの風邪ですか?」についてお話します。

29-1

 

 

 

1.「結核予防週間」

9月24日~9月30日は「結核予防週間」です。

1949年から厚生省(現在の厚生労働省)と公益財団法人結核予防会が、結核についての正しい知識を普及し、これからの活動を考える週間となっており、結核予防の大切さを伝えています。

http://www.jatahq.org/about_tb/index1.html

 

 

 2.啓発ポスター 「それって、いつもの風邪ですか?

厚生労働省からの啓発ポスターでは、症状を上手に医師に伝えられない患者と必要な情報が得られず診断がうまくいかない医師とのやりとりが描かれています。そのために、受診時に皆さんから医師に是非とも伝えて「感染症の正しい診断をより早く行うために役立つ情報」が示されています。診断の遅れや誤った診断につながらないためにも、有効活用したいポスターです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/
29-2

 

<平成29年度 啓発のポイント>

結核の罹患率は順調に減少してきました。

さらに患者数を減少させるには結核の早期診断・治療を強化する必要がありますが、
「結核登録者情報調査年報」 において、受診や診断が遅れる患者の割合はあまり減少していません。

結核の症状には、特徴的なものはなく、私たちが日常的に経験する「風邪」の症状とよく似ています。

いつもの風邪の症状とは異なるところ(咳、痰、微熱や倦怠感が長引いている等)を患者が医師に伝える、医師は患者のいつもの風邪の症状とは異なるところを聞き出す、それによって結核の早期発見、早期診断につなげるべく、「それって、いつもの風邪ですか?」を今年度の標語としています。

引用: http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000175603.pdf

 

 

3.原因と感染経路

病原体は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)です。結核を発病して、排菌している人が咳やくしゃみをした時に、結核菌を含んだ飛沫が周囲に飛び散り、空気中に漂っている結核菌を吸い込むことによって感染します。いわゆる空気感染です。

一般的には、肺の内部で増えて、咳、痰、呼吸困難の症状が多いですが、肺以外の腎臓、骨、脳など身体のあらゆる部分に影響を及ぼすことがあります。また、結核菌に感染した場合、必ずしもすぐに発症するわけではなく、体内に留まったのち再び活動を開始し発症することがあります。

 

 

 4.BCG強陽性・・

少し話は違いますが、平成元年のある日、保健所からの連絡が入りました。

長男が通っていいた保育園の保育士さんが結核と診断され接触者検診をしますと。

検診は「ツ反」、まさかの強陽性・・・赤く腫れていました。

胸部のレントゲンも撮影しましたが、レントゲンは異常なしでした。

しかし、他のお子さんが全員陰性で、保育園の園長先生にお話を聞くと
一番たくさんその保育士さんが遊んでくれていたようです。

保健所や病院の先生と相談した結果、1剤の予防内服をすることになりました。

生後6か月の長男に1日3回の内服を半年、
何だかとても悲しかったですが、
子どもが大好きだった先生にたくさん遊んで頂いた結果ですから。

無事に半年の内服を終えました。

その後、有難いことに保健所は、中学までフォローしてくれました。

29-429-3

 

 

5.早期発見・早期治療

自分自身の健康を守ることはもちろんのこと、家族や友人などへの感染を防ぐためにも、早期発見・早期治療が重要です。定期的に、健診をきちんと受け、「それって、いつもの風邪?」ではなく、受診されることをお勧めします。

 

咳(せき)が2週間以上続く

痰(たん)がでる(痰に血が混ざる)

体がだるい

微熱が続く

 

  • こんな症状がありませんか?早めの受診を・・・
  • 診察の際は、先生にしっかりと症状をお伝えしてください。

 

 

榮留 富美子(えいどめ ふみこ) 

11

・プロフィール・長崎県大村市出身。2016年3月、陸上自衛隊を定年退職。2016年4月、EIDOME Consulting 開業。自衛隊中央病院高等看護学院卒業後、陸上自衛隊の看護師として、臨床現場、看護教育、部隊カウンセラーとして勤務。特に、感染管理認定看護師取得後は、自衛隊中央病院において専従として感染制御活動に携わる。

現在は、これまで培ってきた知識や技術を活かし、企業とコンサルティング契約、また、日本環境感染学会教育委員としての活動やフィットテスト研究会、感染管理認定看護師課程等において感染管理や労働安全衛生の非常勤講師として活動している。

個人で雇う看護師「ナース家政婦さん」

29-2

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です